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(贈与について)年間110万円までは贈与しても贈与税はかかりませんが、
1年間に贈与された財産の合計額が110万円を超えた場合は、その超えた部分について贈与税がかかります・・・。
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ところが、
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の贈与(または、居住用不動産を取得するための金銭の贈与)がなされた場合、
上記基礎控除(110万円)のほかに、最高2,000万円まで控除できるという特例があり、これを贈与税の配偶者控除といいます。
配偶者控除の適用要件は次のとおりです。
- 婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
- 贈与財産が、自己の居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)であること。
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産(または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産)に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
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相続放棄は、
家庭裁判所で手続きをしなければ法律的な効力は生じず、家庭裁判所へ相続放棄の申述をし、それが受理されることによってはじめて相続放棄をしたといえます。
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そして、家庭裁判所で相続放棄の手続きができるのは、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内です。
3ヶ月経過後の相続放棄の申述は原則として受理されませんが、債務の存在を知った経緯など特別な事情がある場合は、3ヶ月を経過していても相続放棄できることがあり、このようなケースは珍しくありません(実際、かなり多いです)。
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家庭裁判所はこの熟慮期間3ヶ月というものを形式的に判断しているのではなく、「3ヶ月以内に相続放棄の申述をしなかったことについて、相当の理由がないと明らかに判断できる場合にだけ申述を却下し、それ以外の場合には申述を受理する。」といった取扱いがなされているのが実務の現状です。
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従い、
単に相続開始から3ヶ月以上経過しているからといって、それだけで相続放棄を諦めることはありません(お気軽にご相談下さい)。
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成年後見人は包括的な代理権を有しているため、何でもできると思われがちですが、そうではありません・・。
成年後見人は、次のことはできません。
1、ご本人が行った、日用品の購入に対する同意や取消し
ご本人が行った食料品や嗜好品その他の日用品の購入は、成年後見人等の同意を必要としない行為のため、成年後見人はご本人の行ったこれら行為を取り消すことはできません。
2、事実行為
事実行為とは、食事や介助、掃除、送迎、病院等への付き添いなどの行為を言います。
成年後見人等は契約等の法律行為を行うのであり、本人にこれら事実行為の必要が生じた際は、介護保険やその他の制度を利用し、ヘルパーなどの専門家にゆだねることになります(成年後見人等の事務の範囲ではありません)。
3、医療行為の同意
医療行為の判断は本人固有のもので、代理権の及ぶものではないとされております。医療行為に対する同意は、成年後見人等の事務の範囲ではありません。
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4、身元保証人、身元引受人、連帯保証人になること
老人ホームの入所や病院への入院の際には、身元保証人や身元引受人を要求される場合が多々ありますが、成年後見人等は「財産管理」の中で入所費用の支払いをし「身上監護」の事務を行うのであり、これらに就任することは事務の範囲に含まれていません。
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5、居所の指定
成年後見人等には、代理権の範囲に応じて特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの福祉施設の入退所に関する契約をする権限がありますが、実際の入退所については、本人の同意が前提であり強制する権限はありません。従い、自宅での生活では療養看護を十分にできず、老人ホームへの入所が必要な場合であっても、本人の同意を得る説得が必要になります(但し、緊急の場合や本人の判断能力の状況によってはやむを得ない場合があります。)。
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「遺産整理って何をしてくれるのですか?」
「故人の住んでいたアパート内の衣類や家財等を整理して処分してくれる業務ですか?」
といったご質問がたまにあります。
「遺品整理」で検索をかけると、
家財や貴重品の処分や部屋の清掃などを請け負ってくれる会社のホームページがたくさん出てまいりますが、司法書士による遺産整理はこの業務とは異なります。
司法書士による「遺産整理(遺産承継)業務」とは、
「遺産には預貯金の他に土地や建物、アパートだけでなく、株式や投資信託などがあり、それらの相続手続(不動産登記、解約や売却、現金化)を行う必要があるが、自分たちではできないので代わりにやって欲しい。」
「相続人の中に、あまり接触を持ちたくない人がいるので、その人との連絡窓口となって相続財産を渡して欲しい。」
「相続人も複数いるが、どれをどのようにして分けたらいいのかわからない(遺産分割)ので、助けて欲しい。」
といったご要望にお応えするために、
司法書士が相続人様全員の代理人となって、
遺産の名義変更、売却、解約など必要な手続きの全てを行う業務を言います(相続税の申告が必要な場合は税理士さんへの依頼が必要となります)。
不動産の名義変更をするには、
故人の出生時からの全ての戸籍や住民票の除票、遺産分割協議書など様々な書類が必要で、それら資料を収集して登記申請を行うには専門的な知識が必要になります。
また、
預貯金を解約したり株式や投資信託を売却するには、
「銀行や証券会社によって方法や必要書類がマチマチで統一されていない。」
「手続き開始から終了までに相当の時間がかかる。」
「何回も足を運ばなくてはならない場合がある。」
「窓口で要する時間が長い。」
といったことがあり、そう簡単ではありません。
以上のことから、遺産整理を一般の方が多忙な日々の中で自分で行うことはなかなか難しいのではないでしょうか。
司法書士法第29条及び司法書士法規則第31条において、
司法書士には、高い倫理観のもと、財産管理業務や成年後見業務を、附帯業務として、反復継続して行うことができる旨、規定されています。
遺産整理という包括的な相続手続きを「業」としてすることが法律上で認められているのは、司法書士と弁護士、そして信託銀行だけです。
特定の相続人が主導して遺産整理などの処理にあたることは、しばしば他の相続人の利益を害したり、また、必要な情報を他の相続人に伝えないといった可能性もあるため、相続人全員に対して公正な立場で分配を行う法律専門職が求められているのです。
遺産整理業務とは、
亡くなった人の預貯金や株式、生命保険などに関する遺産相続手続きを、司法書士が相続人様の代理人(相続財産管理人)となって行う業務です。
具体的には、
戸籍収集や預貯金の解約・名義変更手続き、
不動産の名義変更(相続登記)や不動産の売却、
遺産分割協議書の作成・相続財産の分配など・・・・相続手続きに関するもの全てを司法書士が代理人となって行います。
当職の場合、
この遺産整理業務(遺産承継業務)を受任しますと、
まずはじめに金融機関にて「遺産整理口座(預り金口座)」を新規に開設します。
この預り金口座は、わざわざ新規に開設しなくても、既存の相続人様保有の口座や司法書士の口座に遺産である預貯金等を集約させて遺産整理業務を行うことも可能なのですが、当事務所では既存の口座は使用せず、必ず新規に口座を作成し、それを利用します・・・。
何故ならば、
新規に開設した預り金口座に預貯金を集約した方が、金融機関からの入金履歴が通帳に記載されますので、
相続財産の内容が明確で分かり易いですし、
また、
何よりもその方が公平性が保て、無用な相続人間のトラブルを未然に防ぐことができるからです・・・。