特定調停とは、裁判所の仲裁により債権者と交渉し借金を減額させ、かつ、減額した借金を無利息にて3年間で分割弁済して行く手続きで、自己破産や民事再生とは異なり全ての債権者と交渉する必要はなく、整理したい債権者(借金)だけを対象にすることができます。
つまり、任意整理と類似した効果をもつ債務整理ですが、「裁判所を介して行うか・介さずに行うか」が大きな違いの一つとなります。
特定調停は、民事再生・自己破産と同様に、法律上の制度によって定められた手続であるため、裁判所の関与によって進める債務整理です(任意整理は裁判所を介さずして行う債務整理です)。
借金がすべて免除される自己破産とは異なり、特定調停は借金を減額し、分割にて弁済を続けていく債務整理の方法です(場合により一括弁済する場合もあります)。
交渉や利息制限法による引直し計算の結果によっては借金がゼロになる場合もありますし、更に過払い状態になっている場合もありますが、特定調停の場(裁判所)においては、原則として過払い金返還における裁判所の協力は期待できず、別途、調停外にて返還請求をする必要があります。
全ての債権者を対象に交渉(手続)を進めていかなければならない民事再生や自己破産と異なり、特定調停は任意に選択した債権者との交渉が可能です。
従いまして、金利が非常に高い債権者や借入額が多い債権者のみと交渉する、といった柔軟な対応が可能になります。
利息制限法に基づいて引直し計算の上(場合によっては交渉によって債務を減額します)、確定した債務を将来利息を付さずに3年から5年で分割弁済して行きます。
従いまして、対象となる債権者との取引期間が長ければ長いほど債務は減額され、これによって減額された金額と将来利息を付さなくて良い分が減額の効果となります。
裁判所には最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所といった、争いの内容や金額などによってそれぞれ取扱う裁判所が定められています。
取扱う裁判所を定める規定の一つに「事物管轄」という、請求額や目的物の価額によって判断するルールがあるのですが、特定調停の場合には、整理する借金の金額が地方裁判所の管轄に属する金額であっても、地方裁判所で行うことはなく、全て簡易裁判所で行います。