離婚をした場合は相手方に対して財産分与を求めることができます。
そして、財産分与の対象が不動産(家)である場合は、財産分与による不動産の名義変更(所有権移転登記)を行うことになります。
財産分与による不動産の名義変更ができるのは離婚届の提出の後になるため、離婚届を提出してしまった後になって、急に相手方が登記手続きに協力してくれなくなったなど、トラブルになることも少なくありません。
従いまして、離婚協議書の作成や登記に必要な書類の準備など、事前に済ませておくことがポイントとなります。
離婚届を出す前に、まずは司法書士にご相談ください。
住宅ローンが残っている場合、財産分与による所有権移転登記をしても、不動産の所有者は変わりますが、住宅ローンの債務者は変更されません。
もし、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要があります。
銀行等の承諾を得ていなくても、財産分与による所有権移転登記をしてしまうことは可能ですが、借入先に無断で名義変更をするのは、住宅ローン契約に違反する可能性があるため注意が必要です。
離婚時の財産分与として、不動産などの財産を相手方から受け取った場合でも、原則として贈与税はかかりません。
財産分与は、財産の贈与では無く、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためにおこなわれるものだからです。
ただし、「分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合」や、「離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合」には、財産分与とは認められず、贈与税が課税される場合があるため注意が必要です。
不動産取得税は、不動産(土地、建物など)を取得した際、不動産の取得者に課税されるものです。
この取得には、売買による場合だけでなく、贈与や代物弁済なども含まれますが、財産分与により不動産を取得した場合においては、夫婦財産の清算を目的として行われた財産分与(清算的財産分与)の場合には、不動産取得税が課税されません。
しかし、それが清算的な財産分与ではなく、慰謝料や離婚後の扶養を目的とする場合には、不動産取得税が課税されることになります。
※財産分与を受けた不動産に、分与を受けた方が居住するときには、既存住宅(中古住宅)を取得した場合の不動産取得税の軽減を受けられることが多いので、不動産取得税が問題になることは少ないと思われます。
財産を分与する方 | 財産分与を受ける方 |
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権利証または登記識別情報 | 住民票 |
印鑑証明書(発行後3ヶ月以内) | |
不動産の固定資産評価証明書 | |
離婚の記載のある戸籍謄本 | |
登記委任状(当事務所が作成します) | |
運転免許証やパスポート等の身分証明書 |
※財産分与をする方の登記上の住所(氏名)と現在の住所(氏名)が異なる場合は、所有権移転登記に先立ち所有権登記名義人表示変更登記(住所変更登記・氏名変更登記)を行わなければならず、住民票(戸籍の附票)や戸籍謄本のほか、登記費用が必要になります。
財産分与を受ける方 |
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調停調書・審判書・和解調書など |
住民票 |
登記委任状(当事務所が作成します) |
運転免許証やパスポート等の身分証明書 |
※調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合、財産分与を受ける方が単独で登記申請できることがあります。このときは、登記をする際に相手方の協力を得る必要はありません。
※財産分与をする方の登記簿上の住所が、調停調書記載の現住所と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所変更の登記が必要ですが、この住所変更の登記についても、相手方の協力を得ずにおこなうことができます。
内 容 | 登録免許税・実費 | 司法書士報酬(税抜) |
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登記事項事前調査 | 1通600円 | 不動産1個につき1,000円 |
登記原因証明情報の作成 | - | 1枚3,000円 |
所有権移転登記申請代理 | 固定資産評価額の2% | 40,000円~ |
送料・事務通信費 | 500円~1,500円程度 | - |