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一定の相続人には、遺言(遺贈)や生前贈与によっても奪うことのできない、保障された最低限の相続分があり、これを「遺留分」と言います。
●遺留分侵害請求権
亡くなった方(被相続人)が、財産を遺留分権利者以外の者に贈与や遺贈をしてしまい、結果、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、その贈与や遺贈を受けた者に対してその侵害額に相当する金銭の支払いを請求することでき、この請求権のことを「遺留分侵害請求権」といいます。
●遺留分減殺請求権
遺留分減殺請求権とは、改正前民法の規定で、遺留分を侵害された人が、贈与や遺贈を受けた人に対し、遺留分侵害の限度で贈与や遺贈された財産の返還を請求する権利のことをいいます。
2019年7月1日の改正法施行を境に、7月1日以降に相続が開始した場合は「遺留分侵害請求」制度が適用となり、それ以前での相続開始の場合は、「遺留分減殺請求」が適用となります。
両請求の違いは、「遺留分減殺請求」では、贈与や遺贈を受けた財産そのものを返還するという「現物返還」が原則であり、金銭での支払いは例外という位置づけでしたが、「遺留分侵害請求」は、金銭請求に一本化されたという点です。
なお、相続人間における遺産分割協議での話し合いの結果、取得した財産が遺留分未満となってしまった場合は(自ら承知の上でそのような割合にて分けることに同意したのですから)遺留分が侵害されたことにはなりませんので、ご注意下さい。
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