公正証書遺言を作成する際、最後に、遺言者本人と証人2名、公証人が遺言書にそれぞれ署名・押印します。
これが遺言書の「原本」となり、公証役場に長い間保管されることになります。
どれくらい長期間保管されるかと言いますと、作成の日から20年以上(通常、遺言者が140歳になるまで)保管されます。
この遺言書「原本」は、公証役場に保管されるため、本人には渡されません・・。
それでは遺言者が亡くなった後に、遺言によって預金の払戻しや不動産の名義変更等を行うときにはどうしたらよいのでしょうか?
遺言書作成時に、原本と同じ効力をもつ「正本」が作成され(原本の写し)、これが遺言者に交付されますので、この「正本」を使用して相続手続きを行うことになります。
※正本は公証役場に依頼すれば、再発行してもらうことができます。
では、遺言書には「謄本」というものありますが、これは如何でしょうか?
遺言書の「謄本」も、正本と同様に原本の写しとなりますが、正本のような、原本と同じ効力が無いため、金融機関や法務局での手続きに使用することはできません。
「謄本」は、
「遺言者が遺言の内容を確認するための保管資料」としたり、
「正本を執行者に渡したものの、執行者が本当にそのとおりに執行してくれるか不安な場合に、執行者以外の方に渡しておく」といった利用方法が考えられます。
※この謄本も、公証役場に依頼すれば、再発行してもらことができます。