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成年後見人は包括的な代理権を有しているため、何でもできると思われがちですが、そうではありません・・。
成年後見人は、次のことはできません。
1、ご本人が行った、日用品の購入に対する同意や取消し
ご本人が行った食料品や嗜好品その他の日用品の購入は、成年後見人等の同意を必要としない行為のため、成年後見人はご本人の行ったこれら行為を取り消すことはできません。
2、事実行為
事実行為とは、食事や介助、掃除、送迎、病院等への付き添いなどの行為を言います。
成年後見人等は契約等の法律行為を行うのであり、本人にこれら事実行為の必要が生じた際は、介護保険やその他の制度を利用し、ヘルパーなどの専門家にゆだねることになります(成年後見人等の事務の範囲ではありません)。
3、医療行為の同意
医療行為の判断は本人固有のもので、代理権の及ぶものではないとされております。医療行為に対する同意は、成年後見人等の事務の範囲ではありません。
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4、身元保証人、身元引受人、連帯保証人になること
老人ホームの入所や病院への入院の際には、身元保証人や身元引受人を要求される場合が多々ありますが、成年後見人等は「財産管理」の中で入所費用の支払いをし「身上監護」の事務を行うのであり、これらに就任することは事務の範囲に含まれていません。
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5、居所の指定
成年後見人等には、代理権の範囲に応じて特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの福祉施設の入退所に関する契約をする権限がありますが、実際の入退所については、本人の同意が前提であり強制する権限はありません。従い、自宅での生活では療養看護を十分にできず、老人ホームへの入所が必要な場合であっても、本人の同意を得る説得が必要になります(但し、緊急の場合や本人の判断能力の状況によってはやむを得ない場合があります。)。