一度作成した遺言書を撤回したり、内容を一部修正したりすることはできるのでしょうか?
また、それらはどのような方法によって行うのでしょうか?
民法1022条で、
「遺言者はいつでも遺言の方式にしたがって、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる」と規定されています。
よって、遺言者は遺言の取り消し等を行うことが認められています。理由は、遺言は遺言者の最終意思を尊重することにあるからです。
民法上で定められてる撤回方法をご紹介しますと、
1、前の遺言を撤回する遺言を新たに作成することによって、前の遺言を撤回することができます。
例えば、このように記載します
「平成29年5月9日作成の遺言は全部取消す」
「令和2年3月18日付遺言における●●●の部分の遺言は取消す」
2、新たに作成した遺言が、前の遺言の内容と抵触する部分があると、その抵触する部分については(前の遺言が)撤回されたものとみなされます。
3、遺言書作成後、遺言の目的物を他人に売却したり贈与した場合には、その目的物については撤回したものとみなされます。
4、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、破棄された部分については撤回されたものとみなされます。
5、遺言者が遺贈の目的物を故意に破棄した場合には、その目的物については遺言は撤回されたものとみなされます。
不動産所有者が、引っ越しにより住所を移転しても(住民票を移しても)、不動産登記上の住所が自動的に変更されることはなく、昔の住所のままです。
また、不動産所有者が結婚や離婚などにより氏名が変わったとしても(戸籍の記載が変わっても)、不動産登記上の氏名が自動的に変更されることはなく、従前の氏名のままです。
このように、引っ越しにより住所を移転した場合や、住居表示が実施されて町名地番が変更した場合、結婚や離婚等により氏名が変わった場合に行う登記を「登記名義人表示変更登記」と言います。
住所変更をした際、現在の正しい住所に変更登記を行うことは義務ではないため、これを怠ったとしても特に罰則等はありませんが、(例えば)自宅を売却することになり、買主に所有権移転登記を行う際には、事前に登記名義人住所変更登記をしなければなりません。
何故ならば、不動産(土地、家屋)を売却し、所有権移転登記を申請する際には、売主の住所が印鑑証明書記載の住所と一致していなければならないからです。これは、不動産を担保に融資を受け、抵当権設定登記を行う際も同様です。
尚、「相続」による所有権移転登記においては、被相続人の最後の住所と登記上の住所が相違する場合であっても、最後の住所と登記上の住所の繋がりが証明できる住民票の除票や戸籍の附票などを提出することにより、事前に住所変更登記をすることなく相続登記をすることができます。
今月(3月)は、小平市社会福祉協議会主催の「成年後見基礎講座」で次のとおり、講師をつとめさせていただきます。
コロナ渦により、当然ながらこの1年、このような催しはほとんど中止だったので、ホント久しぶりです。
今回は、成年後見制度の中でも「任意後見」を中心に、関連する「見守り契約」や「任意代理契約(財産管理等委任契約)」・「死後事務委任契約」・「遺言」についてお話しし、その他、今話題の「家族信託」にも触れたいと思っています。
記
とき:令和3年3月16日(火)
時間:14時~16時
場所:小平市福祉会館 4階 小ホール
問い合わせ等:小平市社会福祉協議会 権利擁護センターこだいら
042-342-8780
以上です。
できればたくさんの方に来て頂きたいのですが、このような状況ですので、人数制限や感染防止対策、質疑は口頭ではなくメモ書きで等、多くの制約があろうかと思います。
詳しくは小平市社会福祉協議会(上記)にお問い合わせください。
相続において、遺産の中に土地や建物、マンション等の不動産が含まれている場合には、相続登記(所有権移転登記)を行う必要があるのですが、現在の法律では、相続登記を行わなかったとしても、罰則や制裁は課されませんので、相続登記を行わないケース・・・、つまり、登記名義人は亡くなった所有者(被相続人)のままであることが少なくありません。
実際のところ、相続登記がなされないまま放置された結果、所有者がわからなくなってしまっている土地が増え続けており、2016年の国土交通省の地籍調査によれば、所有者不明の土地は約410万ヘクタールもの面積におよび、九州よりも大きな規模の土地が所有者不明となっております。
今月(2021年2月)10日の法制審議会において、所有者が不明となっている土地問題の対策を盛り込んだ民法と不動産登記法の改正に向けた要綱を決定し、法相に答申しております。
改正要綱では、
- 土地の所有者の死亡後(相続人が土地の取得を知った日から)、3年以内に相続登記を申請することを義務付ける。正当な理由なく申請しない場合には、10万円以下の過料を科す。
- 登記名義人が転居した場合にも届け出を義務付ける。怠れば5万円以下の過料を科す。
- 土地を国有地化する制度を創設し、権利関係に争いがないことや土壌汚染がないことなどを条件に、法務局が認めれば、10年分の土地管理費に相当する金額を納付することで、所有権の放棄を認める。
- 手続きの負担を軽減するため、相続人の申し出だけで登記できるようにする。
- 相続の際に不動産一覧を法務省が発行することにより、相続忘れを防ぐ。
- 裁判所が所有者不明の土地の管理人を選び、所有者に代わって管理や売却を行うことも可能にする。
といったことなどが盛り込まれています。
政府は今国会に関連法案を提出する予定なので、相続登記の義務化もそう遠くありません。
相続放棄は家庭裁判所に相続放棄の申述をすることによって効果が発生します。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされるので、不動産や預貯金といったプラスの遺産(財産)のみならず、借金や債務といったなマイナスの財産も承継しなくてよくなります。
一方、「相続分の譲渡」は、各共同相続人が遺産全体の上に持つ包括的持分または相続人の地位を他の人に譲渡することをいいます。
相続分を譲渡する相手方は他の相続人は勿論、全くの他人でもよく、相続分の譲渡を受けた者は、相続分を持つ相続人として、相続財産を共有し、遺産分割協議に参加することができるようになります。
尚、「相続放棄」と異なり、「相続分の譲渡」をしても、借金などの債務については、対外的にその支払い義務から逃れることはできず、もし、相続分の譲渡人が相続債権者から請求を受けた場合であっても、その支払いを拒否することはできません。