配偶者(妻・夫)は、相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合、一定期間(最低6ヶ月間)は、引続き無償でその建物に居住することができます。
配偶者短期居住権は、次の要件に該当する場合には当然に発生しますので、配偶者長期居住権と異なり、登記や契約など特別の設定行為は必要ありません。
≪配偶者短期居住権が成立するための要件≫
生存配偶者が
- 被相続人所有の建物に、
- 相続開始時に、
- 無償で居住していたこと。
以上3点が要件となります。
尚、被相続人と同居していたかどうかは問いませんし、また、仮に生存配偶者が、相続放棄をした場合でも、この配偶者短期居住権は取得できます。
但し、生存配偶者が、欠格事由に該当、又は排除された場合には、配偶者短期居住件は取得できません。
≪配偶者短期居住権の存続期間≫
1,配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をする場合
遺産分割により「建物の取得者が決まった日」又は、「相続開始の日から6ヶ月経過した日」のいずれか「遅い日」までの間存続します。
2,上記以外の場合
建物を取得した者からの「配偶者短期居住権の消滅の申入れの日から6ヶ月を経過する日」までの間は存続します。
尚、生存配偶者が、建物の全部を無償で使用していた場合には、建物全部について配偶者短期居住権が成立しますが、建物の一部を使用していた場合には、その部分に限ってのみ成立します。
昨年「相続法」が約40年ぶりに改正され、2020年4月1日から「配偶者居住権」という新しい権利がスタートしました。
今回の(相続法の)改正は、相続人など残された人の生活を守るための内容となっている傾向が強く、この配偶者居住権もまさに残された妻(夫)の将来の暮らしを守る内容になっております。
今後、何回かに分けてこの配偶者居住権についてご紹介したいと思います。
「配偶者居住権」とは?
配偶者居住権とはその言葉通り、「亡くなった夫(妻)と一緒に暮らしていた妻(夫)に、引き続きその家に住む権利が与えられる。」というものです。
この居住権には、「配偶者短期居住権」と「配偶者長期居住権」の2種類の権利があります。
前者の「配偶者短期居住権」は、相続人間における遺産分割協議が終わるまで、妻(夫)は、亡くなった夫(妻)の家に住む権利が与えられるというものです。
この短期居住権が認められることにより、今までそこに住んでいた妻(夫)は、当面の間は引き続きその家に住むことができることになります。
しかし、例えば、『遺言で長男が家の所有権を相続した場合』、長男はいつでも「配偶者短期居住権」を消滅させるよう申し入れすることができます。
ただ、そのような場合でも、6ヵ月の猶予期間を得られますので、その間に新しい居住先の準備が可能となります。
後者の「配偶者長期居住権」は、配偶者が家の「居住権」を取得し、長男が家の「所有権」を持つといった、居住権と所有権を分けて持つことが可能になるというものです。
これにより、妻(夫)は、家の所有権を持っていなくても、居住権があれば、その家に住み続けられるということになります。
ただし、(上記例の場合)あくまで所有権は長男にあるので、妻(夫)は家を売却することはできませんし、また、居住権は残された妻(夫)だけに認められた権利なので、これを第三者に譲渡することはできず、妻(夫)が亡くなった場合には、この居住権は消滅します。
一度作成した遺言書を撤回したり、内容を一部修正したりすることはできるのでしょうか?
また、それらはどのような方法によって行うのでしょうか?
民法1022条で、
「遺言者はいつでも遺言の方式にしたがって、その遺言の全部又は一部を取り消すことができる」と規定されています。
よって、遺言者は遺言の取り消し等を行うことが認められています。理由は、遺言は遺言者の最終意思を尊重することにあるからです。
民法上で定められてる撤回方法をご紹介しますと、
1、前の遺言を撤回する遺言を新たに作成することによって、前の遺言を撤回することができます。
例えば、このように記載します
「平成29年5月9日作成の遺言は全部取消す」
「令和2年3月18日付遺言における●●●の部分の遺言は取消す」
2、新たに作成した遺言が、前の遺言の内容と抵触する部分があると、その抵触する部分については(前の遺言が)撤回されたものとみなされます。
3、遺言書作成後、遺言の目的物を他人に売却したり贈与した場合には、その目的物については撤回したものとみなされます。
4、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合には、破棄された部分については撤回されたものとみなされます。
5、遺言者が遺贈の目的物を故意に破棄した場合には、その目的物については遺言は撤回されたものとみなされます。
不動産所有者が、引っ越しにより住所を移転しても(住民票を移しても)、不動産登記上の住所が自動的に変更されることはなく、昔の住所のままです。
また、不動産所有者が結婚や離婚などにより氏名が変わったとしても(戸籍の記載が変わっても)、不動産登記上の氏名が自動的に変更されることはなく、従前の氏名のままです。
このように、引っ越しにより住所を移転した場合や、住居表示が実施されて町名地番が変更した場合、結婚や離婚等により氏名が変わった場合に行う登記を「登記名義人表示変更登記」と言います。
住所変更をした際、現在の正しい住所に変更登記を行うことは義務ではないため、これを怠ったとしても特に罰則等はありませんが、(例えば)自宅を売却することになり、買主に所有権移転登記を行う際には、事前に登記名義人住所変更登記をしなければなりません。
何故ならば、不動産(土地、家屋)を売却し、所有権移転登記を申請する際には、売主の住所が印鑑証明書記載の住所と一致していなければならないからです。これは、不動産を担保に融資を受け、抵当権設定登記を行う際も同様です。
尚、「相続」による所有権移転登記においては、被相続人の最後の住所と登記上の住所が相違する場合であっても、最後の住所と登記上の住所の繋がりが証明できる住民票の除票や戸籍の附票などを提出することにより、事前に住所変更登記をすることなく相続登記をすることができます。
今月(3月)は、小平市社会福祉協議会主催の「成年後見基礎講座」で次のとおり、講師をつとめさせていただきます。
コロナ渦により、当然ながらこの1年、このような催しはほとんど中止だったので、ホント久しぶりです。
今回は、成年後見制度の中でも「任意後見」を中心に、関連する「見守り契約」や「任意代理契約(財産管理等委任契約)」・「死後事務委任契約」・「遺言」についてお話しし、その他、今話題の「家族信託」にも触れたいと思っています。
記
とき:令和3年3月16日(火)
時間:14時~16時
場所:小平市福祉会館 4階 小ホール
問い合わせ等:小平市社会福祉協議会 権利擁護センターこだいら
042-342-8780
以上です。
できればたくさんの方に来て頂きたいのですが、このような状況ですので、人数制限や感染防止対策、質疑は口頭ではなくメモ書きで等、多くの制約があろうかと思います。
詳しくは小平市社会福祉協議会(上記)にお問い合わせください。