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昨年(2018年)の7月6日、約40年ぶりに相続法(相続に関する民法等の規定)を改正する法律が成立しました。
改正相続法の多くは今年(2019年)の7月1日から施行されることが決まっています。
具体的には、次の分野に関する見直し(改正)がなされました。
①「配偶者の居住権を保護」
②「遺産分割等に関する見直し」
③「遺言に関する見直し」
④「遺留分制度の見直し」
⑤「相続の効力等に関する見直し」
⑥「相続人以外の者の寄与度を考慮する方策」
今日は、「配偶者居住権」についてお話ししたいと思います。
今回の改正において最も注目すべきは、この「(被相続人の)配偶者である妻や夫の居住権を保護するため」の制度です。
従来の相続法では、夫名義の不動産に長年住んでいた妻が、遺産分割協議等で不動産を取得しないことになった際、妻の居住権が保護されない可能性があり、以前から問題視されていました。
そこで、改正後においては、仮に相続人である配偶者が、亡くなった夫(妻)名義の居住建物の所有権を遺産分割協議において相続しない結果となった場合でも、配偶者居住権を取得すれば、終身、当該居住建物に住み続けられるという権利です。
この配偶者居住権は、相続開始により当然に生じる権利ではなく、配偶者居住権を取得するためには、遺贈や遺産分割によって権利を与えられなければなりません。
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上記「配偶者居住権」が認められない場合に備え、「配偶者短期居住権」という制度も新設されました。
この制度は、「遺産分割により居住建物の帰属が確定した日」または「相続開始時から6ヶ月を経過する日」のいずれか遅い日までは、配偶者は無償で当該建物に居住することができる制度で、当該制度により、少なくとも相続開始時から6ヶ月間は配偶者相続人の居住権が保護されることになりました。
他の改正内容については順次ご紹介してまいります。
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