先日受けた相談です・・・・・。
建物賃貸借契約書に、
「契約終了の際は、原状回復・リフォーム費用のため敷金から4割差し引いて返還する」との特約があったため、
預けた敷金14万円のうち、84,000円しか返還されなかった・・・・・。
確かに契約前の重要事項説明書にも記載があり、署名押印をしている・・・・・。
しかし1年間しか住んでいなかったので、部屋は綺麗なハズなのだが・・・・・・仕方がないことなのでしょうか?
といった内容です。
結論から言うと、
一律に一定金額を敷金から差し引いて返還するといった「敷引条項」は、
通常の使用をしている以上、自然に汚損、消耗してもそのままの状態で返還すれば足りるという民法606条並びに608条から導かれる解釈に反しますし、
また、
信義誠実の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものとして、消費者契約法10条が適用され、
無効であると考えられます。
敷金とはそもそも賃借人(借家人)の賃貸借の債務の担保として貸主に預けるもので、
賃借人が建物を明け渡す際は、賃貸人はこれを返還しなければなりませんが、
もしも賃借人に賃料不払いがあったり、
その他の債務不履行により損害を与えていた場合には、賃借人は敷金からこれを差し引いて返還すればよいとされているのです・・・。
従いまして、
賃貸期間の長短を問わず、しかも賃借人の責任ではない通常の汚損や消耗の場合でも一律に一定金額を差し引くといった特約は、
認められるべきではありません・・・。