遺言とは?

遺言でできること、遺言の効力

遺言書に何を書くかは自由です。しかし、何から何まで記載した事項に法的効力があるわけではありません(公序良俗に反する事項は無効です)。

法的に効力が認められる事項は定められており、それ以外のことについては法的効力はなく、言わば遺言者からの「お願い」に過ぎません。

しかし、法的に効力がないといっても、それは故人の「お願い」であり、非常に重みがあるものなので、相続人たちは故人の付言を尊重されることが多いことだろうと思います。 以下では、法的効力がある遺言事項についてご紹介します。

死後の財産処分についての遺言

[ 遺贈 ]

遺贈は遺言の利用方法として代表的なものと言えます。

遺言者は、遺言によってその財産の全部または一部を自由に処分することができますので、相続人以外の第三者に財産を譲りたい場合などはこの遺贈を利用することになります(他に死因贈与と言うものもあります)。

詳しい説明は「遺贈とは?」を参照下さい。

[ 信託の設定 ]

まず、信託を辞書で調べますと、「他人に財産権の移転などを行い、その者に一定の目的に従って財産の管理・処分をさせること。」とあります。

つまり、遺贈と似ている部分はあるのですが、信託とは平たく言うと、第三者に財産の管理運用を任せ、その運用によって得られた成果を受益者交付することで、信託銀行における遺言信託がその代表例です。

信託銀行による遺言信託で注意すべきことは、あくまで信託銀行でできることは財産に関する遺言の執行であり、身分に関すること(認知・未成年後見人の指定etc)については取扱ができません。

[ 財団法人設立のための寄付 ]

例えば、財産に希少価値(家屋や自動車等)があったり文化的にとても貴重とされる場合に、その財産を保存することや、財産たる現金を、しょう害を持った方のための事業に役立てたいなどと言った、公益的な事業のために役立てたいと望まれる場合に、遺言が利用できます。

相続人や遺産分割についての遺言

[ 推定相続人の廃除 ]

遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して、(1)虐待をするとか (2)重大な侮辱を加えたとか (3)その他直接被相続人に対する行為でなくても、推定相続人において罪を犯したというような著しい非行があったときは、被相続人はその者を推定相続人から排除するよう遺言に残すことができます。

注意すべき点は、遺言によって直ちに廃除の効力が生じるのではなく、遺言にもとづき遺言執行者が家庭裁判所に申立て、それが認められることによって、当該推定相続人は相続の資格を失うことになります。 尚、遺言ではなくても(生前)家庭裁判所に請求することにより推定相続人の廃除は可能です。

[ 相続分・遺産分割方法の指定 ]

法定相続分とは異なる割合によって財産を分配するように指定(例えばAには財産の3分の1を、Bには財産の3分の2を相続させる)したり、「Aには甲不動産を相続させる」、「Bには現金と乙不動産を相続させる」といった、相続人及び財産を特定して、相続分を指定することもできます。

また、「甲不動産を売却し、その代金を相続税の納税資金に充て、残った現金はAに相続させる。」といったことを指定することもできます。

尚、指定内容が相続人の遺留分を侵害している場合には、遺留分減殺請求の対象となりますので、注意が必要です。

[ 相続分・遺産分割方法の指定の委託 ]

相続分の指定や遺産分割方法の指定を第三者に委託することができます。

但し、指定の委託を受ける第三者は相続人・包括受遺者以外の、信義則上、相続に関係のない人でなければなりません。 また、委託を受けた第三者が、相続分の指定を拒絶し、または、相当な期間内に指定をしなかった場合には、委託は効力を失い、法定相続分によることになります。

更に、委託を受けた第三者が、指定するか否かの態度を保留しているときは、共同相続人から相当な期間を定めて指定するよう催告し、その期間内に確答がなければ指定を拒絶したものとみなされます。

[ 特別受益者の相続分~持戻しの免除 ]

相続人の中で生前に特別の贈与を受けた者があるときには、その贈与は相続分の前渡とされ(持戻し)、相続分から差し引かれることになるのですが、これを差し引かないよう定めることができます。

[ 5年間以内の遺産分割の禁止 ]

被相続人は、遺言で相続開始の時から5年を超えない期間内遺産の分割を禁止することができるものとされています。

相続人間で円満な話合いができないことが予測されるような場合には、しばらくは分割を見合わせて冷静になることが賢明かもしれませんね。 遺産分割の禁止は相続人間による協議でも定めることが可能ですし、家庭裁判所(調停・審判)によって定められることもあります。

尚、遺産分割の禁止を第三者に主張するには、不動産の場合にはその旨を登記しておくことが必要となるので注意が必要です。

[ 遺留分減殺方法の指定 ]

遺言によって遺留分が侵害される場合に、遺留分権利者は、贈与や遺贈を減殺(否定する)することができますが、どの財産に対して実際それを行うのかについては、法律によって順番が決まっています。

遺言では遺留分減殺請求が行われた場合にどの財産に対して行うかについて、法律で決まっている順番とは異なった定めにすることができます。

[ 相続人相互の担保責任の指定 ]

実際に財産を分割したところ財産に瑕疵(欠陥があって評価が低い・貸金債権を相続したが既に受取り済みだったetc)があったということがないとは言えません。

そして、このような場合には、相続人間で互いに損害の責任を負うのが原則です。 遺言では、この相続人相互の担保責任について別の定めをすることができます。

遺言執行者の指定

[ 遺言執行者の指定およびその信託 ]

相続人の利害が対立し、適切な執行ができないということを回避する為、遺言によって遺言の内容を実現してくれる人(遺言執行者)を指定することができます。また、遺言執行者の指定を第三者に委託することもできます。

未成年後見人の指定と認知

[ 未成年後見人の指定 ]

未成年後見人とは、親権者の死亡等のために未成年者に対し親権(看護養育・財産管理・契約等)を行う者がない場合に未成年者の法定代理を努める者を言います。

家庭裁判所への申立による選任以外に、遺言でも予め指定することが可能です。

[ 未成年後見監督人の指定 ]

未成年後見人を監督し、未成年後見人と未成年者(被後見人)との利益が相反する場合に、未成年後見人に代わって未成年者の代表等の役目を果たす機関です。

家庭裁判所への申立による選任以外に、遺言でも予め指定することが可能です

[ 認知 ]

婚姻外で生まれた子を遺言によって認知することができます。 尚、婚姻外で生まれた子は、認知されることによって、一定の相続権(嫡出子の1/2)を持つことになります。