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個人民事再生には、給与所得者等再生と小規模個人再生の2つの手続きがありますが、給与所得者等再生は、小規模個人再生の対象者のうち,公務員やサラリーマンなど、将来の収入を確実かつ容易に把握することができる方が利用できる手続きとなります。
再生計画に係る再生債権者の決議を経る必要がある小規模個人再生と異なり、可処分所得の2年分を支払うことによって、上記決議が省略されることが、給与所得者等再生の大きな特徴です。
小規模個人再生における最低弁済額は、
①借金総額の20%(500万円以上1,500万円未満の場合)と
②申立人の有する財産額(清算価値)の
高いほうの金額となりますが、
給与所得者等再生の場合は、上記①②に③「可処分所得の2年分」の要件が加えられ、①②③のうち最も高い金額が弁済額となるのです。
可処分所得の2年分とは、
再生債務者の2年間の収入から、所得税・住民税・社会保険料を控除した額を2で割った手取り収入から、再生債務者と家族の最低生活費を控除した額の二乗の額を意味するのですが、
このうち、最低生活費は、当該債務者の実際に要する生活費の額ではなく、生活保護を基準に算定することから、扶養家族(子供)がいないと、可処分所得の2年分が高額となってしまいます。
結果、可処分所得の2年分の額が借金総額の20%の額を大きく上回ってしまい(最低弁済額が高額になってしまい)、個人民事再生のメリットを最大限に活かすことができないケースが少なくありません。
従い、再生計画に係る再生債権者の決議で反対する恐れのある債権者が半数以上いるとか、債権の半額以上を有する債権者が反対をする恐れがあるといった事情がない限り、個人民事再生で利用される多くの手続きは小規模個人再生で、給与所得者等再生の利用はさほど多くありません。
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過払い金を計算するには、まずは、貸金業者・消費者金融やクレジット信販会社から「取引履歴」を取り寄せるところからはじまります。
取引履歴とは、いついくら借りて、いついくら返したのかを明らかにした取引の明細で、すべての取引内容が記載されたものです。
取引履歴は、消費者金融などの貸金業者から取り寄せることができます。
取引履歴を請求したら貸金業者から脅かされるのでは?と心配なさる方もいらっしゃるかと思いますが、そのようなことはまずないのでご安心下さい。
過払い金が発生する条件としては、法律で定められている15%~20%を超えるグレーゾーン金利での取引が過去にあった場合です。
まずは取引履歴を確認し、グレーゾーン金利で利息を払っていたなら、正しい金利で計算をし直します。
これを「引き直し計算」といいます。
もし、ご自身での調査等が困難な場合には、取引履歴の取り寄せ~過払い金の調査・計算まで無料で行っておりますので、お気軽にご相談下さい。
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時効には、「消滅時効」と「取得時効」の2種類があります。
消滅時効は、一定期間権利を行使しなければその権利が消滅し、一方、取得時効は、他人のものを一定期間自分のものと思って占有し続けることによって所有権を取得できるという制度です。
テーマにも記載のとおり、今日は「消滅時効」についてお話したいと思います。
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個人間のお金の貸し借りの場合、「10年間」その債権(お金を返して下さいという権利)を行使しないと、その債権は消滅してしまいます。
一方、
個人間ではなく、銀行や消費者金融といった業者からの借金の場合には、「5年間」その債権(お金を返して下さいという権利)を行使しないと、その債権は消滅してしまいます。
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それでは一体、その期間(5年や10年)が開始する起算点はいつからなのでしょうか?
法律上(民法)、
消滅時効の起算点は、「権利を行使することができるとき」とされています。
つまり、お金を貸した消費者金融が、借りた人に「返してください」と言えるときということになります。
返済期日を定めている場合、返済期日が来てはじめて返済の請求ができますので、返済期日が起算点になります。
返済期日を定めていない場合は、いつでも返済の請求ができるので、お金の貸し借りをした日が起算点になります。
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また、借金は5年や10年で時効で無くなるといっても、単に期間が経過すれば時効になるわけではなく、「請求」、「差押え、仮差押えまたは仮処分」、「承認」で時効は中断します。
時効が中断した場合、時効の進行はそこでリセットされ(ゼロ)その時点から再出発となるのです(時効の中断については、また別の機会に詳しくご説明したいと思います。)。
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時効成立に必要な期間が経過し、時効の中断事由もなく、時効の要件を全て満たしたとしても、期間の経過とともに自動的に時効になるわけではありません。
時効の効果を生じさせ、借金を帳消しにするには、あなたが(債務者)消費者金融等の債権者に対して時効の援用(時効の主張)を行わなければなりません。ここは大事です!
時効を援用することについて理由などいりませんし、また、時効の援用は難しくありません。
単に、「時効期間の経過により借金の支払義務が消滅しているので支払いません。」といった趣旨を債権者に通知すればそれで大丈夫です。
ただし、時効を援用するときには、その証拠が残るよう、内容証明郵便にて通知しましょう。
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新年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
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元旦に、相続債務に関する相談メールを頂いたので(今年最初の相談です。)、今日は被相続人の残した借金について簡単にお話したいと思います。
人が死亡し相続が開始すると、相続人は、亡くなった方の遺産を承継することになりますが、遺産とは、何も銀行や信用金庫などに預けた預貯金預や、自宅の土地建物、株式、投資信託、現金、貴金属といったプラスの財産だけではなく、借金や債務といったマイナスの財産も承継することになります。
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相続開始から3ケ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば、この借金を負わずに済みますが、相続放棄をした場合、プラスの財産も放棄することになります。
※その他「限定承認」というプラスの財産で補える範囲でマイナスの遺産も承継する手続もありますが、この場では説明を割愛させていただきます。
相続放棄をしなければ、プラスの遺産もマイナスも遺産も承継することになるのですが、マイナスの遺産である「借金」や「債務」について、各相続人がどのように負担するのかについては、遺産分割協議にて話し合い、取り決めることが可能なので、仮に、「私は預金は相続するが、借金は負わない。」ということで他の相続人の合意を得られたのであれば、その協議は相続人間では有効です。
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しかし、借金や負債といった相続債務についての取扱いについては、相続債権者の「承諾」がない限り、協議で取り決めた相続債務の負担内容を、債権者に対抗することはできません。
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何故ならば、
相続債権者が関与しない遺産分割協議で、債務の帰属を自由に決定することができるとしたのであれば、相続債権者の利益を害することになるからです。
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従い、債権者の承諾がない限りは、相続人は、法定相続分に従って債務を承継することになりますので、協議にて取り決めた債務負担の割合等については、
「債務を負担した相続人が他の相続人に対する求償権を放棄する。」
といった方法などによって調整する必要があります。
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さて(話は変わり)、
12月31日、東村山市での私用を終えた後、近くの公園に寄りました。
大晦日の公園って、いつも人がいなくて寂しい気がするのですが、意外とこの雰囲気が好きす(年末ギリギリの時期に公園に行くことが結構多いです。)。
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個人民事再生には、
「小規模個人再生」と、「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。
両手続とも、裁判所の認可決定を得て借金が大幅に減額される制度(8割カット)であるという点は同じなのですが、この2つの手続きにおける最も大きな違いは、
小規模個人再生の場合、認可決定を得る条件として「債権者の決議がありますが(債権者の同意)」、給与所得者等再生には債権者決議のようなものはないという点です。
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これだけ聞くと、絶対に「給与所得者等再生」を利用すべきを思うかもしれませんが、実はそうでもありません。
その理由をご説明する前に、まずは、小規模個人再生と給与所得者等再生を利用できる方について簡単にご説明します。
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給与やこれに類する定期的な収入を得る見込みがある方は、給与取得者等再生を利用することができます。
一方、自営業者や、上記には該当しないが将来にわたって継続的に収入を得る見込みのある方(アルバイトやパートタイマーの方など)は、小規模個人再生を利用することができます。
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それでは、給与所得者等再生を利用すれば、債権者の同意も不要なので、必ず借金の80%が減額されて、残りの20%を弁済すれば借金は全て無くなるのか?と言いますと、そう簡単には行きません。
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給与所得者再生の場合、
「借金総額の20%と、2年分の可処分所得(税金や家賃、生活費を除いた残りの自由に使えるお金)を、比較して高い方の金額」が返済すべき金額となるのです。
そして、この可処分所得の算出方法は、
その債務者が実際に必要だった生活費の額で計算することは認めらず、「政令」によって一律、具体的に(債務者の居住地域や家族構成等あわせて)定められており、これが機械的に採用される結果、
例えば、
「独身者」や「夫婦二人で子供なし」といった債務者の場合は、債権額の20%よりもはるかに2年分の可処分所得の方が高額になってしまうケースが多く(高額の方が弁済額として採用されてしまうため)、再生計画の遂行が困難になってしまう危険性があるのです。
具体例をあげますと、
「500万円の借金を負っている方(独身者)が個人民事再生を行った場合、小規模個人再生ならその再生計画による弁済額は100万円で済むのに、給与所得者等再生を利用すると弁済額が350万円くらいになってしまう。」
といったようなことが実際に起こり得るのです。
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従いまして、
個人債務者再生を利用する際は、給与所得者等再生を利用できる環境だから(=正社員)ということだけを基準にこれを選択するのではなく、
これを選択した場合における再生計画認可決定時の返済総額はいくらになるのか?といたことを事前にシュミレーションの上、検討し、
場合によっては、債権者の消極的同意を得るというリスクのある小規模個人再生を選択するといった判断も必要になってくるのです。
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何れにしましても、
個人債務者再生という手続きは、借金返済や多重債務で困り、引き直し計算後の債務の総額が一定金額以上の高額に及ぶ方にとって(例えば300万円以上)、抜群の減額効果を発揮する債務整理だと思います。
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